フェルマー予想のn=3, 4の場合をMapleとPARI-GPで検証

フェルマー予想:

方程式 X^n+Y^n=Z^n (n≧3) の整数解は自明なものしかない。

の n=3, 4 の場合をMapleとPARI-GPで検証してみました。

なお、フェルマー予想は、1995年にアンドリュー・ワイルズによって証明されました。

n=3の場合

Step 1

方程式 X^3+Y^3=Z^3 が自明な整数解しか持たないことを言うためには、方程式 t^3+u^3-1=0 が自明な有理数解しかないことをいえば十分です。

なぜなら、方程式 X^3+Y^3=Z^3 が自明でない整数解を持てば、方程式 t^3+u^3-1=0 は自明でない有理数解を必ず持つからです。実際、方程式 X^3+Y^3=Z^3 の整数解 (X, Y, Z) で Z≠0 のものに対して、(t, u) = (X/Z, Y/Z) は方程式 t^3+u^3-1=0 の有理数解です。

Step 2

Mapleを利用して、方程式 t^3+u^3=1 を有理式で定まる変数変換によって楕円曲線に変形します。

> with(algcurves):
> f:=t^3+u^3-1:
> Weierstrassform(f,t,u,x,y)

[x^3+27/4+y^2, 
-3*u^2+3*u*t-3*t^2, 9*u^2*t-9*u*t^2+9*t^3-9/2, 
(1/6)*(-9-2*y)/x, (1/6)*(-9+2*y)/x]

最初の成分は、変形後の楕円曲線の方程式です。2番目以降の成分は変数変換の式です。x^3+27/4+y^2=0 の x を -x に変換すれば、y^2=x^3+27/4 が得られます。

Step 3

PARI-GPで、楕円曲線 E: y^2=x^3-27/4 の生成元とトージョンを計算します。

gp > E = ellinit([0,0,0,0,-27/4]);
gp > ellgenerators(E)
%2 = []
gp > elltors(E)
%3 = [3, [3], [[3, 9/2]]]
gp > ellpow(E, [3, 9/2], 2)
%4 = [3, -9/2]
gp > ellpow(E, [3, 9/2], 3)
%5 = [0]

PARI-GPの計算結果によれば、E(Q) のランクは 0 で、トージョン点は無限遠点と (3, ±9/2) しかありません。

Step 4

Step 2のMapleの計算結果によれば、x を -x に置き換える変換も考慮すると、

(t, u)
= ((1/6)*(-9-2*y)/(-x), (1/6)*(-9+2*y)/(-x))
= (-(9+2*y)/(6*x), -(9-2*y)/(6*x))

によって楕円曲線 y^2=x^3-27/4 の有理点から方程式 t^3+u^3-1=0 の有理数解が得られます。PARI-GPで計算してみると、

gp > f(x, y) = [-(9+2*y)/(6*x), -(9-2*y)/(6*x)];
gp > f(3, 9/2)
%1 = [-1, 0]
gp > f(3, -9/2)
%2 = [0, -1]

方程式 t^3+u^3-1=0 に自明でない整数解があれば、それには楕円曲線 y^2=x^3-27/4 の無限遠点以外の有理点が対応します。ところが、無限遠点以外の有理点はすべて自明な解に対応しています。したがって、方程式 t^3+u^3-1=0 には自明でない有理数解が存在しないことがわかります。

n=4の場合

Step 1

方程式 X^4+Y^4=Z^4 が自明な整数解しか持たないことを言うためには、より強い主張である方程式 X^4+Y^4=Z^2 が自明な整数解しか持たないことを示せばよく、それには方程式 t^4-u^2+1=0 が自明な有理数解しかないことをいえば十分です。

なぜなら、方程式 X^4+Y^4=Z^2 が自明でない整数解を持てば、方程式 t^4-u^2+1=0 は自明でない有理数解を必ず持つからです。実際、方程式 X^4+Y^4=Z^2 の整数解 (X, Y, Z) で Y≠0 のものに対して、(t, u) = (X/Y, Z/Y^2) は方程式 t^4-u^2+1=0 の有理数解です。

Step 2

Mapleを利用して、方程式 t^4-u^2+1=0 を有理式で定まる変数変換によって楕円曲線に変形します。

> with(algcurves):
> f:=t^4-u^2+1:
> Weierstrassform(f,t,u,x,y)

[y^2+x^3-4*x, 
(2*(u-1))/t^2, (4*(u-1))/t^3, 
-2*y/(-4+x^2), -(1/2)*(8+2*x^2)/(-4+x^2)]

最初の成分は、変形後の楕円曲線の方程式です。2番目以降の成分は変数変換の式です。y^2+x^3-4*x=0 の x を -x に変換すれば、y^2=x^3+4*x が得られます。

Step 3

PARI-GPで、楕円曲線 E: y^2=x^3+4*x の生成元とトージョンを計算します。

gp > E = ellinit([0,0,0,4,0]);
gp > ellgenerators(E)
%2 = []
gp > elltors(E)
%3 = [4, [4], [[2, 4]]]
gp > ellpow(E, [2, 4], 2)
%4 = [0, 0]
gp > ellpow(E, [2, 4], 3)
%5 = [2, -4]
gp > ellpow(E, [2, 4], 4)
%6 = [0]

PARI-GPの計算結果によれば、E(Q) のランクは 0 で、トージョン点は無限遠点と (0, 0), (2, ±4) しかありません。

Step 4

Step 2のMapleの計算結果によれば、x を -x に置き換える変換も考慮すると、

(t, u)
= (2*y/((-x)^2+4), -((-x)^2-4)/((-x)^2+4))
= (2*y/(x^2+4), -(x^2-4)/(x^2+4))

によって楕円曲線 y^2=x^3+4*x の有理点から方程式 t^4-u^2+1=0 の有理数解が得られます。PARI-GPで計算してみると、

gp > f(x, y) = [2*y/(x^2+4), -(x^2-4)/(x^2+4)];
gp > f(2, 4)
%1 = [1, 0]
gp > f(0, 0)
%2 = [0, 1]
gp > f(2, -4)
%3 = [-1, 0]

方程式 t^4-u^2+1=0 に自明でない整数解があれば、それには楕円曲線の無限遠点以外の有理点が対応します。ところが、無限遠点以外の有理点はすべて自明な解に対応しています。したがって、方程式 t^4-u^2+1=0 には自明でない有理数解が存在しないことがわかります。

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