円分体の類数のPARI-GPによる計算例

L を円の n 分体とする。n が 3 から 40 までのときの L の類数をPARI-GPで計算してみた。ただし、n≡2 mod 4 の場合は除外した。なぜなら、n が奇数のとき、2n 分体 は n 分体に一致するからである。

L/Q のGalois群 Gal(L/Q) は n を法とする既約剰余類群に同型である。Gal(L/Q) が巡回群のとき、[K:M]=2 となる中間体 M はただ1つに定まり、それは最大実部分体である。n が奇素数冪ならば、n を法とする既約剰余類群は巡回群になる。そこで、その場合に限り、polsubcyclo() を使って最大実部分体 L+ を求め、L+ の類数 h+ と、L の相対類数 h-=h/h+ を計算した。

gp> default(parisize, 100000000); \\ same as allocatemem() ?
gp> {
for(n = 3, 45, 
  if(n % 4 == 2, next);
  pol = polcyclo(n);
  bnf = bnfinit(pol);
  print(n,": h = ",bnf.no);
  if(n % 2 == 1 && matsize(factor(n)) == [1, 2], 
    polmrsf = polsubcyclo(n, eulerphi(n)/2);
    bnfmrsf = bnfinit(polmrsf);
    print(n,": h+ = ",bnfmrsf.no,", h- = ",bnf.no/bnfmrsf.no);
  );
);}

出力結果:

3: h = 1
3: h+ = 1, h- = 1
4: h = 1
5: h = 1
5: h+ = 1, h- = 1
7: h = 1
7: h+ = 1, h- = 1
8: h = 1
9: h = 1
9: h+ = 1, h- = 1
11: h = 1
11: h+ = 1, h- = 1
12: h = 1
13: h = 1
13: h+ = 1, h- = 1
15: h = 1
16: h = 1
17: h = 1
17: h+ = 1, h- = 1
19: h = 1
19: h+ = 1, h- = 1
20: h = 1
21: h = 1
23: h = 3
23: h+ = 1, h- = 3
24: h = 1
25: h = 1
25: h+ = 1, h- = 1
27: h = 1
27: h+ = 1, h- = 1
28: h = 1
29: h = 8
29: h+ = 1, h- = 8
31: h = 9
31: h+ = 1, h- = 9
32: h = 1
33: h = 1
35: h = 1
36: h = 1
37: h = 37
37: h+ = 1, h- = 37
39: h = 2
40: h = 1
41: h = 121
41: h+ = 1, h- = 121
43: h = 211
43: h+ = 1, h- = 211
44: h = 1
45: h = 1

bnfinitの注意点

bnfinitによる類数の計算には、GRH(Generalized Riemann Hypothesis)を仮定した操作が混入している可能性がある。PARI-GPでは、GRHを仮定しなくても正しいかどうかを判定するための関数 bnfcertify() が用意されている。

上の計算に関しては、n=23 のとき、

gp > bnfcertify(bnfinit(polcyclo(23)))
  *** bnfcertify: Warning: large Minkowski bound: certification will be VERY long.
  *** bnfcertify: not enough precomputed primes, need primelimit ~ 9324407.

と表示される。2番目の警告については、

gp> default(primelimit, 10000000);

で回避できるが、1番目の警告は残ったままである。

ところで、Lawrence C. Washington: Introduction to Cyclotimic Fields, Springer の巻末に円分体の相対類数の表がある。また、そのWashingtonの本によると、h+ について以下のことが成り立つとのこと。

  • n が素数冪のとき、φ(n)≦66 ならば h+=1。
  • n が素数冪でないとき、n≦200, φ(n)≦72 ならば h+=1。ただし、n=136のときは h+=2である。148, 152のときは不明。

よって、n が 45 以下の範囲では、h=h- である。以上のことを踏まえた上で、上の計算結果はWashingtonの本の類数表と一致している。

【theme : 数学
【genre : 学問・文化・芸術

プロフィール

よしいず

Author:よしいず
MATHEMATICS.PDFというウェブサイトを運営しています。

管理の都合上、トラックバックとコメントはオフにしてあります。ブログ経験者なら分かっていただけると思いますが、スパム(アダルトやその他の宣伝)ばかりなのが現実です。

リンクは自由です。当サイトの記事に対する間違いの指摘・意見・感想などを述べた記事からのリンクは歓迎です。ただし、ブログ記事アップ直後はミスが多く、頻繁に修正します。場合によっては削除する可能性もあります。その際、何も断りもなく修正・削除しますがご了承ください。内容を参考にする場合には投稿後一週間ほど様子を見てからにしてください(笑)。

記事の間違いを指摘するときは、その具体的箇所、理由(仕様に反するなど)・根拠(参考にした文献など)、代替案(同じ結果を得るための正しいやり方)も教えてください。そうしないと、(指摘される側および第三者はその時点では無知の状態なので、)どこが間違いなのか分かりませんし、本当に間違っているのかどうかが判断・検証できません。実際、間違いだと指摘されたことが結局は正しかったというケースもありますので。

このブログのタイトル一覧

リンク
月別アーカイブ
カテゴリ
最新記事
検索フォーム
RSSリンクの表示