多次元の場合の確率分布の定義

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多次元の場合の確率分布の定義

$n\geq 1$ を整数とし, $\boldsymbol{B}^{(n)}$ を $n$ 次元の Borel 集合族 (=$\mathbb{R}^{n}$ 上の加法族のうち $\mathbb{R}^{n}$ の開集合全体を含む最小のもの) とする. $\boldsymbol{B}^{(n)}$ は $\mathbb{R}^{n}$ 上の加法族である.

組 $(\mathbb{R}^{n}, \boldsymbol{B}^{(n)}, P^{(n)})$ が確率空間であるとき, $\mathbb{R}^{n}$ 上の確率 $P^{(n)}$ のことを確率分布 (あるいは, 分布), より詳しくは連続確率分布 (あるいは, 連続分布) という.

$\mathbb{R}^{n}$ 上定義された Lebesgue 積分可能な実数値関数 $\rho(x_{1},x_{2},\ldots,x_{n})$ で以下の条件を満たすものを密度関数という.

(1) $\rho(x_{1},x_{2},\ldots,x_{n})\geq 0$ $\bigl(\forall (x_{1},x_{2},\ldots,x_{n})\in\mathbb{R}^{n}\bigr)$.

(2) $\displaystyle\iint\cdots\int_{\mathbb{R}^{n}}\rho(x_{1},x_{2},\ldots,x_{n})\,dx_{1}dx_{2}\cdots dx_{n}=1$.

$\rho(x_{1},x_{2},\ldots,x_{n})$ が密度関数であるとき, 各 $A\in\boldsymbol{B}^{(n)}$ に対し $$ P^{(n)}(A) = \iint\cdots\int_{A}\rho(x_{1},x_{2},\ldots,x_{n})\,dx_{1}dx_{2}\cdots dx_{n} $$ とおくことにより, 確率分布 $P^{(n)}$ が定まる.

多次元の確率変数の確率分布

$(\Omega, \boldsymbol{B}, P)$ を確率空間とし, $X_{1}$, $X_{2}$, $\ldots$, $X_{n}$ を $\Omega$ 上の確率変数とする. このとき, 組 $(X_{1}, X_{2}, \ldots, X_{n})$ を $n$ 次元確率変数という.

$X=(X_{1}, X_{2}, \ldots, X_{n})$ を $n$ 次元確率変数とし, $\boldsymbol{B}^{(n)}$ を $n$ 次元の Borel 集合族とする. 各 $A\in\boldsymbol{B}^{(n)}$ に対し $$ P^{X}(A) = P(\{\omega\in\Omega \mid (X_{1}(\omega), X_{2}(\omega), \ldots, X_{n}(\omega))\in A\}) $$ とおくと, $(\mathbb{R}^{n}, \boldsymbol{B}^{(n)}, P^{X})$ は確率空間になる. 特に, $P^{X}$ は $\mathbb{R}^{n}$ 上の確率である. $P^{X}$ を $X$ の確率分布 (あるいは, $X$ の確率法則) という. またこのとき, $X$ は確率分布 $P^{X}$ に従うという.

$X=(X_{1}, X_{2}, \ldots, X_{n})$ を $n$ 次元確率変数とするとき, 各々の確率変数 $X_{i}$ の確率分布 $P^{X_{i}}$ を $P^{X}$ の周辺分布という.

$n$ 次元確率変数 $X=(X_{1}, X_{2}, \ldots, X_{n})$ に対して, $\mathbb{R}^{n}$ 上の実数値関数 $F(x_{1},x_{2},\ldots,x_{n})$ を, 各 $(x_{1},x_{2},\ldots,x_{n})\in\mathbb{R}^{n}$ に対し $$ F(x_{1},x_{2},\ldots,x_{n}) = P(\{\omega\in\Omega \mid X_{i}(\omega)\leq x_{i}\,(i=1,2,\ldots,n)\}) $$ とおくことによって定める. $F(x_{1},x_{2},\ldots,x_{n})$ を $X$ の分布関数という.

分布関数 $F(x_{1},x_{2},\ldots,x_{n})$ が全微分可能であるとき, その偏導関数 $$ f(x_{1},x_{2},\ldots,x_{n}) = \frac{\partial^{n}}{\partial x_{1}\cdots\partial x_{n}}F(x_{1},x_{2},\ldots,x_{n}) $$ を $X$ の密度関数という. 実際に, $f(x_{1},x_{2},\ldots,x_{n})$ は先に述べた密度関数の条件を満たし, さらに, \begin{align*} &\int_{-\infty}^{x_{1}}du_{1}\cdots\int_{-\infty}^{x_{n-1}}du_{n-1}\int_{-\infty}^{x_{n}}f(u_{1},u_{2},\ldots,u_{n})\,du_{n} \\ &\qquad = F(x_{1},x_{2},\ldots,x_{n}) \end{align*} が成り立つ.

$f(x_{1},x_{2},\ldots,x_{n})$ を $X$ の密度関数とし, $f_{i}(x_{i})$ を $X_{i}$ の密度関数とする. このとき, $n$ 個の確率変数 $X_{1}$, $X_{2}$, $\ldots$, $X_{n}$ が独立であるための必要十分条件は, $$ f(x_{1},x_{2},\ldots,x_{n}) = f_{1}(x_{1})f_{2}(x_{2})\cdots f_{n}(x_{n}) $$ が成り立つことである.

参考文献

  • 日本数学会 (編):岩波数学辞典 第4版, 岩波書店, 2007
  • 稲垣宣生:数理統計学, 裳華房, 1990
  • 折原明夫:測度と積分, 裳華房, 1997
  • 小針あき宏:確率・統計入門, 岩波書店, 1973

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