DirichletのL関数の定義
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Dirichlet 級数
$(a_{n}\mid n=1,2,\ldots)$ を複素数列, $s$ を複素数とする. このとき, $$ \sum_{n=1}^{\infty}\frac{a_{n}}{n^{s}} $$ の形の級数を Dirichlet 級数という.
Dirichlet の L 関数
$\chi$ を Dirichlet 指標とする. このとき, $$ L(s, \chi) = \sum_{n=1}^{\infty}\frac{\chi(n)}{n^{s}} $$ で定まる複素関数 $L(s, \chi)$ を Dirichlet の $L$ 関数という. ここで, $s$ は $\mathrm{Re}(s)>1$ なる複素変数である.
$L(s, \chi)$ の右辺は Dirichlet 級数である. 特に, $\chi$ が主指標であるとき, $L(s, \chi)$ は Riemann の $\zeta$ 関数に一致する.
$L(s, \chi)$ は, 半平面 $\mathrm{Re}(s)>1$ で絶対かつ広義一様収束する. 特に, $\mathrm{Re}(s)>1$ で正則である.
Dirichlet の $L$ 関数について, 半平面 $\mathrm{Re}(s)>1$ において Euler 積表示 $$ L(s, \chi) = \prod_{p}\left(1-\frac{\chi(p)}{p^{s}}\right)^{-1} $$ が成り立つ. ここで, $p$ は素数全体をわたる.
$\chi$ が非自明な Dirichlet 指標のとき, $L(s, \chi)$ は $\mathbb{C}$ 全体に解析接続でき, そこで正則になる. また, $L(1, \chi)\neq 0$ が成り立つ.
$\chi$ が自明な Dirichlet 指標のとき, $L(s, \chi)$ は $\mathbb{C}\setminus\{1\}$ に解析接続でき, そこで正則になる. $\mathbb{C}$ 全体では有理型関数であり, $s=1$ で $1$ 位の極をもつ.
参考文献
- J. ノイキルヒ (著), 梅垣敦紀 (訳): 代数的整数論, シュプリンガー, 2003.