方程式x^3-2y^3=±1の整数解について (2)

前回の記事の続き。

※ MathJax を使用しています。数式を表示するためには、JavaScript をオンにする必要があります。

以下に紹介する証明のアイデアは, 参考文献に挙げた Ribenboim 氏の本によれば, McCallum 氏によるものとのこと.

[証明] $(x, y)$ を方程式 (1) の整数解とする.

$x=0$ のとき, $-2y^{3} = \pm 1$ であり, $2$ が $1$ の倍数になって矛盾が生じる. $y=0$ のとき, $x^{3} = \pm 1$. これより, $x=\pm 1$. よって, 方程式 (1) の自明な整数解は $(x, y)=(\pm 1, 0)$ がすべてである.

以下, $x\neq 0$ かつ $y\neq 0$ とする.

$K=\mathbb{Q}(\theta)$, $\theta=\sqrt[3]{2}$ とおく. $K$ は実 $3$ 次体であり, 総実ではない. $O_{K}$ を $K$ の整数環とすると, $O_{K}=\mathbb{Z}[\theta]=\mathbb{Z}+\mathbb{Z}\theta+\mathbb{Z}\theta^{2}$ である. さて, $O_{K}$ において, \begin{equation} \pm 1 = x^{3}-2y^{3} = (x-y\theta)(x^{2}+xy\theta+y^{2}\theta^{2}) \tag{2} \end{equation} と分解する. よって, $x-y\theta$ は $K$ の単数である. 一方, $K$ の単数群は, Dirichlet の単数定理によれば, $-1$ と $1$ 個の単数 $\varepsilon$ により生成される. そして, $\varepsilon$ として $-1+\theta$ がとれることが知られている. ゆえに, ある $n\in\mathbb{Z}$ が存在して, \begin{equation} x-y\theta = \pm (-1+\theta)^{n} \tag{3} \end{equation} と表すことができる. もし仮に $n=0$ とすると $x-y\theta=\pm 1$ となり $y\neq 0$ に反するから, $n\neq 0$ である. さらに, $0 < -1+\theta < 1$ であり, $$ x^{2}+xy\theta+y^{2}\theta^{2} = \left( x + \frac{1}{2}y\theta\right)^{2} + \frac{3}{4}y^{2}\theta^{2} \geq \frac{3}{4}\theta^{2} > 1 $$ であるから, (2) より $\lvert x-y\theta\rvert < 1$. もし仮に $n<0$ とすると, (3) の右辺の絶対値が $1$ より大きくなり矛盾が生じる. したがって, $n>0$.

$n=1$ のとき, (3) より $$ x-y\theta = \pm (-1+\theta). $$ これより, $(x, y)=(1, 1)$, $(-1, -1)$.

$n=2$ のとき, (3) より $$ x-y\theta = \pm (-1+\theta)^{2} = \pm (1-2\theta+\theta^{2}). $$ $\theta^{2}$ の係数を比較すると, これは不可能であることがわかる.

$n\geq 3$ のとき, (3) の右辺を二項展開したのち, $\theta^{2}$ の係数を比較すると, \begin{equation} 0 = \pm\sum_{k=0}^{\lfloor (n-2)/3 \rfloor}(-1)^{n-2-3k}2^{k}\binom{n}{3k+2}. \tag{4} \end{equation} 各 $k$ について, $$ \binom{n}{3k+2} = \frac{n(n-1)}{(3k+2)(3k+1)}\binom{n-2}{3k} $$ であるから, \begin{align*} \frac{1}{n(n-1)}\binom{n}{3k+2} &= \frac{1}{(3k+2)(3k+1)}\binom{n-2}{3k} \\ &\equiv -\binom{n-2}{3k}\pmod{3}. \end{align*} ゆえに, \begin{align*} & \frac{1}{n(n-1)}(-1)^{n-2-3k}2^{k}\binom{n}{3k+2} \\ &\quad\equiv (-1)^{n-2-3k}(-1)^{k}\left(-\binom{n-2}{3k}\right) \\ &\quad\equiv (-1)^{n-1}\binom{n-2}{3k}\pmod{3}. \end{align*} したがって, \begin{align*} &(-1)^{n-1}\sum_{k=0}^{\lfloor (n-2)/3\rfloor}\binom{n-2}{3k} \\ &\quad\equiv \frac{1}{n(n-1)} \sum_{k=0}^{\lfloor (n-2)/3\rfloor}(-1)^{n-2-3k}2^{k}\binom{n}{3k+2} \pmod{3}. \end{align*} (4) より右辺は $0$ になる. さらに, $(-1)^{n-1}\not\equiv 0\pmod{3}$ であるから, $$ \sum_{k=0}^{\lfloor (n-2)/3\rfloor}\binom{n-2}{3k}\equiv 0\pmod{3}. $$ これは補題に反する.

参考文献

  • Paulo Ribenboim: Catalan's Conjecture: Are 8 and 9 the Only Consecutive Powers?, Academic Press, 1994.
  • 藤崎源二郎: 代数的整数論入門(上), 裳華房, 1975.

関連記事

2の3乗根を添加した3次体の基本単数
方程式x^3-2y^3=±1の整数解について (1)
Diophantus方程式 まとめ

【theme : 数学
【genre : 学問・文化・芸術

プロフィール

よしいず

Author:よしいず
MATHEMATICS.PDFというウェブサイトを運営しています。

管理の都合上、トラックバックとコメントはオフにしてあります。ブログ経験者なら分かっていただけると思いますが、スパム(アダルトやその他の宣伝)ばかりなのが現実です。

リンクは自由です。当サイトの記事に対する間違いの指摘・意見・感想などを述べた記事からのリンクは歓迎です。ただし、ブログ記事アップ直後はミスが多く、頻繁に修正します。場合によっては削除する可能性もあります。その際、何も断りもなく修正・削除しますがご了承ください。内容を参考にする場合には投稿後一週間ほど様子を見てからにしてください(笑)。

記事の間違いを指摘するときは、その具体的箇所、理由(仕様に反するなど)・根拠(参考にした文献など)、代替案(同じ結果を得るための正しいやり方)も教えてください。そうしないと、(指摘される側および第三者はその時点では無知の状態なので、)どこが間違いなのか分かりませんし、本当に間違っているのかどうかが判断・検証できません。実際、間違いだと指摘されたことが結局は正しかったというケースもありますので。

このブログのタイトル一覧

リンク
月別アーカイブ
カテゴリ
最新記事
検索フォーム
RSSリンクの表示