2の3乗根を添加した3次体の基本単数

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一般に, 有限次代数体 $K$ の判別式を $d(K)$, 実の共役体の個数を $r_{1}$, 虚の共役体の個数を $2r_{2}$ とするとき, \begin{align*} &d(K)>0 \Longleftrightarrow (-1)^{r_{2}}=1, \\ &[K:\mathbb{Q}] = r_{1} + 2r_{2} \end{align*} が成り立つ. したがって, $K$ が $3$ 次体で判別式が負のときには, $r_{1}=r_{2}=1$ である. Dirichlet の単数定理により, その単数群は $-1$ と $1$ 個の基本単数により生成される.

判別式が負の $3$ 次体において, 与えられた単数が基本単数であるかどうかを確かめたいとき, 以下の定理が利用できる.

[Artin の定理] $K$ を $3$ 次の代数体とし, その判別式 $d(K)$ は負であるとする. また, $\varepsilon_{0}$ を $K$ の基本単数とし, $\varepsilon_{0}>1$ であるとする. このとき, 次の不等式が成り立つ. $$ \lvert d(K)\rvert < 4\varepsilon_{0}^{3} + 24. $$

$3$ 乗因子をもたない正の整数 $a$ の $3$ 乗根 $\sqrt[3]{a}$ を $\mathbb{Q}$ に添加した体 $\mathbb{Q}(\sqrt[3]{a})$ を純 $3$ 次体という. この体の判別式は常に負である. 詳しくは, 次の定理が成り立つ.

[定理] $m$, $n$ をともに平方因子を含まない正の整数で, $\gcd(m, n)=1$, $mn^{2}>1$ とするとき, $3$ 次体 $K=\mathbb{Q}(\sqrt{mn^{2}})$ の判別式 $d(K)$ は $$ d(K) = \begin{cases} -3m^{2}n^{2}, & \mbox{$m^{2}\equiv n^{2}\;(\mathrm{mod}\;3^{2})$ のとき}, \\ -3^{3}m^{2}n^{2}, & \mbox{それ以外のとき}. \end{cases} $$

$K=\mathbb{Q}(\theta)$, $\theta=\sqrt[3]{2}$ とおく. $K$ の整数環 $O_{K}$ は $\mathbb{Z}[\theta]=\mathbb{Z}+\mathbb{Z}\theta+\mathbb{Z}\theta^{2}$ である.

$1+\theta+\theta^{2}$ は $K$ の単数である. 実際, $O_{K}$ において $$ -(1-\theta)(1+\theta+\theta^{2}) = -(1-\theta^{3}) = 1. $$ $\varepsilon_{0}>1$ を $K$ の基本単数とすると, ある $n\in\mathbb{Z}$ によって $$ 1+\theta+\theta^{2} = \pm\varepsilon_{0}^{n} $$ と表される. $1+\theta+\theta^{2}>1$ なので, $n>0$ かつ右辺の符号は正である. 上述の $2$ つの定理を用いると, $$ 108 = \lvert d(K)\rvert < 4\varepsilon_{0}^{3} + 24. $$ これより, $2.75^{3}<21<\varepsilon_{0}^{3}$. よって, $$ \quad 7.5625 = (2.75)^{2} < \sqrt[3]{21^{2}} < \varepsilon_{0}^{2}. $$ 一方, $1+\theta+\theta^{2} < 1 + 2 + 4 = 7$ であるから, $$ \varepsilon_{0}\leq 1+\theta+\theta^{2} < \varepsilon_{0}^{2}. $$ $\varepsilon_{0}>1$ なので, $\varepsilon_{0}$ の冪の列 $(\varepsilon_{0}^{n}\mid n=1,\,2,\,\ldots)$ は単調増加である. ゆえに, $\varepsilon_{0}=1+\theta+\theta^{2}$ となる. すなわち, $1+\theta+\theta^{2}$ は $K$ の基本単数である.

$\varepsilon_{0}$ が $K$ の基本単数のとき, $\varepsilon_{0}^{-1}$, $-\varepsilon_{0}$, $-\varepsilon_{0}^{-1}$ も $K$ の基本単数である. 特に, $\varepsilon_{0}^{-1}=-1+\theta$ である.

参考文献

  • 藤崎源二郎: 代数的整数論入門(上), 裳華房, 1975.

【theme : 数学
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