2次体のイデアル類群と類数の計算例(m=-14)

2 次体のイデアル類群と類数の計算例。

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$K=\mathbb{Q}(\sqrt{m})$, $m=-14$ とおく.

$d(K)$ を $K$ の判別式, $O_{K}$ を $K$ の整数環とする. $m\equiv 2\pmod{4}$ であるから, $O_{K}=\mathbb{Z}[\sqrt{m}]$, $d(K)=4m = -56$ である.

$n=[K:\mathbb{Q}]=2$ とおく. $r_{1}$ を実の共役体の個数, $2r_{2}$ を虚の共役体の個数とすると, $n=r_{1}+2r_{2}$. $K$ は虚 $2$ 次体であるから, $r_{1}=0$, $r_{2}=1$.

Minkowski の定数 $M_{K}$ を計算すると, $$ M_{K} = \left(\frac{4}{\pi}\right)^{r_{2}}\frac{n!}{n^{n}}\sqrt{\lvert d(K)\rvert} = \frac{2}{\pi}\sqrt{56} = 4.76\cdots < 5. $$ ゆえに, すべてのイデアル類はノルムが $4$ 以下の整イデアルを含む. そこで, $4$ 以下の有理素数について, $K/\mathbb{Q}$ での素イデアル分解の様子を調べる.

$K$ の元 $\alpha$ に対し, $\alpha$ の $K/\mathbb{Q}$ に関するノルムを $N_{K/\mathbb{Q}}(\alpha)$ で表す. また, $K$ のイデアル $I$ に対し, $I$ のノルムを $N(I)$ で表す.

$f(X)\in\mathbb{Q}[X]$ を $\sqrt{m}$ の $\mathbb{Q}$ 上の最小多項式とすると, $f(X)=X^{2}+14$ である. \begin{align*} f(X)&\equiv X^{2}\pmod{2}, \\ f(X)&\equiv X^{2}-1\equiv (X+1)(X-1)\pmod{3} \end{align*} であるから, 各々の有理素数の $K/\mathbb{Q}$ での素イデアル分解は, \begin{align*} &(2) = P_{2}^{2},\quad N(P_{2}) = 2, \\ &P_{2} = (2, \sqrt{-14}), \\ &(3) = P_{3}P_{3}',\quad N(P_{3}) = N(P_{3}') = 3, \\ &P_{3} = (3, \sqrt{-14} + 1) = (3, 1 + \sqrt{-14}), \\ &P_{3}' = (3, \sqrt{-14} - 1) = (3, 1 - \sqrt{-14}). \end{align*} ノルムが $4$ 以下の整イデアルは, $(1)$, $P_{2}$, $(2)$, $P_{3}$, $P_{3}'$ の $5$ つである. $(1)$, $(2)$ はともに単項イデアルであるから, $K$ の類数 (=$K$ のイデアル類群の位数) は $4$ 以下である.

$\mathcal{C}_{K}$ を $K$ のイデアル類群, $h_{K}$ を $K$ の類数とする. $K$ のイデアル $I$ に対し, $I$ が属するイデアル類を $[I]$ で表す.

もし仮に $P_{2}$ が単項イデアルであるとすると, $$ P_{2} = (a+b\sqrt{-14}),\quad a,\,b\in\mathbb{Z} $$ と表されるから, $$ 2 = N(P_{2}) = \lvert N_{K/\mathbb{Q}}(a+b\sqrt{-14})\rvert = a^{2} + 14b^{2}. $$ これを満たす $a$, $b\in\mathbb{Z}$ は存在しない. ゆえに, $P_{2}$ は単項イデアルでない. 同様に, $P_{3}$, $P_{3}'$ も単項イデアルでない.

$P_{2}^{2}=(2)$ より, $\mathcal{C}_{K}$ における $[P_{2}]$ の位数は $2$ である.

$P_{3}^{2}$ は単項イデアルではない. なぜなら, もし仮に $P_{3}^{2}$ が単項イデアルであるとすると, $$ P_{3}^{2} = (a+b\sqrt{-14}),\quad a,\,b\in\mathbb{Z} $$ と表されるから, \begin{align*} 9 & = N(P_{3})^{2} = N(P_{3}^{2}) \\ & = \lvert N_{K/\mathbb{Q}}(a+b\sqrt{-14})\rvert \\ & = a^{2} + 14b^{2}. \end{align*} これを満たすのは $(a, b)=(\pm 3, 0)$ のときのみであり, そのとき $P_{3}^{2}=(3)$ となる. ところが, これは $3$ が $K/\mathbb{Q}$ で分岐しないことに反する. したがって, $P_{3}^{2}$ は単項イデアルではない.

$P_{3}^{3}$ は単項イデアルではない. なぜなら, もし仮に $P_{3}^{3}$ が単項イデアルだとすると, $[P_{3}]$ の位数は $3$ である. すると, $\mathcal{C}_{K}$ は位数 $2$ の元と位数 $3$ の元をもつことになる. これは $\lvert C_{K}\rvert=h_{K}\leq 4$ に反する.

$P_{3}$, $P_{3}^{2}$, $P_{3}^{3}$ はいずれも単項イデアルでないから, $[P_{3}]$ の位数は $4$ 以上である. 一方, $\lvert C_{K}\rvert=h_{K}\leq 4$ であるから, $[P_{3}]$ の位数は $4$ である. したがって, $\mathcal{C}_{K}$ は $[P_{3}]$ によって生成される位数 $4$ の巡回群であり, $h_{K}=4$ である. またこのとき, $$ [P_{2}] = [P_{3}]^{2},\quad [P_{3}'] = [P_{3}]^{3} $$ となっている.

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