方程式y^2=x^3+mの整数解(mが負かつm≡2(mod 4))

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$m$ を平方因子をもたない有理整数とし, $m < 0$, $m\equiv 2\pmod{4}$ であるとする. $K=\mathbb{Q}(\sqrt{m})$, $O_{K}=\mathbb{Z}[\sqrt{m}]$ とおく. $O_{K}$ は $K$ の整数環である. 特に, $O_{K}$ は Dedekind 整域であり, イデアル論の基本定理が成り立つ.

[補題] $a$ を有理整数とし, $\gcd(a, m)=1$ であるとする. このとき, $O_{K}$ の単項イデアル $(a+\sqrt{m})$, $(a-\sqrt{m})$ は互いに素である.

[証明] $\alpha=a+\sqrt{m}$, $\beta=a-\sqrt{m}$ とおく. もし仮に単項イデアル $(\alpha)$, $(\beta)$ が互いに素でないとすると, それらの公約因子であるような素イデアル $P$ が存在する. \begin{align*} (\alpha),\,(\beta)\subseteq P &\Longrightarrow \alpha, \beta\in P \\ &\Longrightarrow \alpha+\beta,\,\alpha-\beta\in P \\ &\Longrightarrow 2a,\,2\sqrt{m}\in P \\ &\Longrightarrow (2a), (2\sqrt{m})\subseteq P \end{align*} であるから, $P$ は単項イデアル $(2a)=(2)(a)$, $(2\sqrt{m})=(2)(\sqrt{m})$ を割る. $\gcd(a, m)=1$ であるから, ある $u$, $v\in\mathbb{Z}$ が存在して, $$ 1 = au+mv \in (a)+(\sqrt{m}). $$ すなわち, 単項イデアル $(a)$, $(\sqrt{m})$ は互いに素である. よって, $P$ は $(a)$, $(\sqrt{m})$ の少なくとも一方は割らない. したがって, $P$ は $(2)$ を割る. $m\equiv 2\pmod{4}$ より $(2)$ は $K$ で分岐するから, $(2)=P^{2}$ である. $P$ は $(\alpha)$, $(\beta)$ の公約因子であったから, 単項イデアル $(a^{2}-m)=(\alpha)(\beta)$ は $P^{2}$ で割り切れる. ゆえに, $a^{2}-m\in (2)=2O_{K}$. すなわち, ある $c$, $d\in\mathbb{Z}$ が存在して, $$ a^{2}-m = 2(c+d\sqrt{m}). $$ これより, $a^{2}-m=2c\in 2\mathbb{Z}$. したがって, $2$ は $a$, $m$ の公約数である. これは $\gcd(a, m)=1$ に反する. (証明終)

[定理] $K$ の類数は $3$ を割らないとする. このとき, 方程式 $y^{2} = x^{3} + m$ の整数解が存在するための必要十分条件は, $1-m\in 3\mathbb{Z}^{2}$ となることである.

さらに, 整数解 $(x, y)$ が存在するとき, $1-m=3a^{2}$, $a\in\mathbb{Z}$ とおくと, \begin{equation} x = 4a^{2}-1, \quad y = \pm a^{2}(8a-3) \tag{1} \end{equation} が成り立つ. これ以外に整数解はない.

[証明] $(x, y)$ を方程式 $y^{2} = x^{3} + m$ の整数解とする.

もし仮に $\gcd(y, m)>1$ とすると, $y$, $m$ の公約数であるような素数 $p$ が存在する. $m$ は平方因子をもたないから, $$ 3\mathrm{ord}_{p}(x) = \mathrm{ord}_{p}(x^{3}) = \mathrm{ord}_{p}(y^{2}-m) = 1. $$ これは不可能である. よって, $\gcd(y, m)=1$ である. このとき, 補題より, $O_{K}$ の単項イデアル $(y+\sqrt{m})$, $(y-\sqrt{m})$ は互いに素である. $$ (x)^{3} = (y^{2}-m) = (y+\sqrt{m})(y-\sqrt{m}) $$ であるから, ある整イデアル $J$ が存在して $(y+\sqrt{m})=J^{3}$ と表せる. $K$ の類数を $h$ とすると, $J^{h}$ は単項イデアルである. $\gcd(h, 3)=1$ であるから, ある $s$, $t\in\mathbb{Z}$ が存在して, $hs+3t=1$. よって, $J = (J^{h})^s(J^{3})^t$. ゆえに, $J$ 自身が単項イデアルになる. そこで, $J=(a+b\sqrt{m})$, $a$, $b\in\mathbb{Z}$ とおく. $K$ の単数は $\pm 1$ のみであり, それらは $3$ 乗数である. 実際, $\pm 1 = (\pm 1)^{3}$. よって, $\pm(a+b\sqrt{m})$ を改めて $a+b\sqrt{m}$ とおき, $$ y + \sqrt{m} = (a+b\sqrt{m})^{3} $$ であるとしてよい. 右辺を展開して比較すると, \begin{align} y &= (a^{3} + 3ab^{2}m) = a(a^{2}+3b^{2}m), \tag{2} \\ 1 &= (3a^{2}b +b^{3}m) = b(3a^{2}+mb^{2}). \tag{3} \end{align} 式 (3) より, $$ b = \pm 1,\quad 3a^{2}+mb^{2} = \pm 1. $$ これより $3a^{2}+m=\pm 1$ を得る. $m\equiv 2\pmod{4}$ であるから, $a$ は奇数であり, $3a^{2}+m\equiv 1\pmod{4}$. したがって, $3a^{2}+m=1$ でなければならない. すなわち, $1-m\in 3\mathbb{Z}^{2}$. そこで, $1-m=3a^{2}$, $a\in\mathbb{Z}$ とおくと, 式 (2) より $$ y = a\bigl(a^{2}+3(1-3a^{2})\bigr) = -a^{2}(8a-3). $$ これを $x^{3} = y^{2} - m$ に代入すれば, $x^{3}=(4a^{2}-1)^{3}$ が得られる.

逆に, $1-m\in 3\mathbb{Z}^{2}$ が成り立つとすると, ある有理整数 $a$ が存在して, $1-m=3a^{2}$. このとき, $x$, $y$ を式 (1) のようにおくと, $(x, y)$ は方程式 $y^{2} = x^{3} + m$ の整数解である. (証明終)

[注意] 虚 $2$ 次体の類数が $3$ で割れるとき, 上の定理は必ずしも成立しない. 例えば, $m=-26$ のとき, 虚 $2$ 次体 $K$ の類数は $6$ である. このとき, $a=3$ とおいて得られる解 $(35, \pm 207)$ のほかに, $(3, \pm 1)$ も整数解になる.

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