定義・定理・証明

数学の文書の多くは、最初にいくつかの「定義」と「公理」が与えられ、次に「定理」が提示され、その「証明」が述べられるという構成になっています。「定理」のバリエーションに「補題」「系」があります。

定義

定義 (definition) とは、数学的対象 (mathematical object) の性質を規定し、用語や記号の意味を明確に説明することをいいます。

命題

命題 (proposition) とは、数学における主張 (mathematical statement) であって、真か偽のどちらかであるものをいいます。命題が真であることを、命題が成り立つともいいます。

命題は、「数学的対象 t は性質 P(t) をもつ」「ある x が存在して、条件 P(x) が成り立つ」「すべての x に対して、条件 P(x) が成り立つ」というように、述語論理のスタイルで述べられます。

また、ある命題が真のときは偽であり、偽であるときは真であるような命題を、もとの命題の否定といいます。先に挙げた例に対する否定はそれぞれ、「数学的対象 t は性質 P(t) をもたない」「すべての x に対して、条件 P(x) が成り立たない」「ある x に対して、条件 P(x) が成り立たない」という具合になります。

定義や命題を数学的に厳密に記述することを定式化 (formulation) といいます。

証明

証明 (proof) とは、いくつかの命題を推論規則 (rules of inference) に従って繋げた文章のことをいいます。証明に必要な推論規則については、以下の記事を参照してください。

推論規則

証明の構造は、結論となる命題を根元として、いくつかの仮定となる命題を枝の先とする樹木の形をしています。

証明が提示されたとき、いくつかの仮定となる命題から結論となる命題が証明された (あるいは、示された、導かれた) という言い方をします。

矛盾

ある命題とその否定の両方が証明されることを矛盾 (contradiction) といいます。

公理

公理 (axiom) とは、数学の理論において最初に仮定された命題のことをいいます。公理は議論の出発点であり、それの証明は求めません。

通常、一つの理論において、複数の公理が設定されます。そうした公理の集まりを公理系といいます。

定理

定理 (theorem) とは、公理系から証明された命題のことをいいます。

補題

補題 (lemma) とは、最終的に証明したい命題の補助として使われる定理のことをいいます。補助定理ともいいます。

系 (corollary) とは、その直前の定理から容易に証明される命題のことをいいます。

ある命題を「定理」「補題」「系」のどれで呼ぶかは文脈によって変わります。また、重要な定理とそうでない定理のメリハリをつけるため、前者を「定理」とし後者を「命題」と呼ぶケースもよく見られます。

予想

予想 (conjecture) とは、証明できる可能性はあるが、証明も反証 (=否定命題の証明) もされていない命題のことをいいます。なお、証明できる可能性はあるという条件は、連続体仮説のように ZFC 公理系から独立である (=証明も反証もできない) ことがわかっているような命題を除外するためものです。

例 (example) とは、定義や命題の具体例のことです。2、3、5、7 は素数の例です。また、-1 の平方が 1 になることは「すべての実数の平方は負でない」という命題の例です。

ある命題が正しくないことを示す例を反例 (counterexample) といいます。例えば、2 が素数であることは、「すべての素数は奇数である」という命題の反例です。

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