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解析的整数論でよく使われる記号

Landau の記号をはじめとする、いくつかの記号の定義。

※ MathJax を使用しています。数式を表示するためには、JavaScript をオンにする必要があります。

$f(x)$, $g(x)$, $h(x)$ を実数値関数とする.

$f(x) = O\bigl(g(x)\bigr)$ は, ある実定数 $C>0$ が存在して, 指定された範囲に属する任意の $x$ に対して $$ \lvert f(x)\rvert < C \lvert g(x)\rvert $$ が成り立つことを意味する. このことは, $f(x)/g(x)$ が有界であることと言い換えることができる. 記号 $O$ は Landau のビッグ・オー記号と呼ばれる.

$x$ の範囲の指定は, $x\geq 1$ のように不等式で明示的に示す場合のほか, 極限の言葉によって示すこともある. 例えば, 「$x\to\infty$ のとき」あるいは「十分大きな $x$ に対して」とは, ある実数 $R>0$ が存在して $x>R$ なるすべての $x$ に対して, という意味である. また, 「$x\to a$ のとき」とは, ある実数 $R>0$ が存在して $\lvert x - a\rvert<R$ なるすべての $x$ に対して, という意味である.

$x$ の範囲の指定は省略されることが多く, そのときは文脈で判断するしかない. 教育的立場でいえば, 省略しないほうがよいように思える.

$f(x) = g(x) + O\bigl(h(x)\bigr)$ は, ある実定数 $C>0$ が存在して, 指定された範囲に属する任意の $x$ に対して $$ \lvert f(x) - g(x) \rvert < C \lvert h(x)\rvert $$ が成り立つことを意味する.

$f(x) \ll g(x)$ は, $f(x) = O\bigl(g(x)\bigr)$ と同じ意味である. 記号 $\ll$ は Vinogradov の記号と呼ばれる.

[例] $x$ を超えない素数の個数を $\pi(x)$ で表す. また, $\mathrm{li}(x)$ を対数積分とする. Riemann 予想は, $x\to\infty$ のとき $$ \pi(x) = \mathrm{li}(x) + O(\sqrt{x}\log x) $$ が成り立つのと同値であることが知られている.

$f(x)\asymp g(x)$ は, $f(x) = O\bigl(g(x)\bigr)$ かつ $g(x) = O\bigl(f(x)\bigr)$ が成り立つことを意味する. すなわち, ある実定数 $C_{1}>0$, $C_{2}>0$ が存在して, 指定された範囲に属する任意の $x$ に対して $$ C_{1}\lvert g(x)\rvert < \lvert f(x)\rvert < C_{2}\lvert g(x)\rvert $$ が成り立つことを意味する.

[例] $x$ を超えない素数の個数を $\pi(x)$ で表す. このとき, ある実定数 $C_{1}>0$, $C_{2}>0$ が存在して, 任意の実数 $x\geq 2$ に対して $$ C_{1}\frac{x}{\log x} < \pi(x) < C_{2}\frac{x}{\log x} $$ が成り立つ (Chebyshev の定理). このことは, $$ \pi(x) \asymp \frac{x}{\log x} $$ と表すことができる.

$f(x)\sim g(x)$ は, $x$ がある極限に近づくとき, $$ \frac{f(x)}{g(x)} \to 1 $$ が成り立つことを意味する. $f(x)\sim g(x)$ が成り立つとき, $f(x)$ は $g(x)$ に漸近的に近づくという.

[例] $x$ を超えない素数の個数を $\pi(x)$ で表す. このとき, $$ \frac{\pi(x)}{x/\log x}\to 1\quad (x\to\infty) $$ が成り立つ (素数定理). このことは, $$ \pi(x)\sim\frac{x}{\log x} $$ と表すことができる.

$f(x) = o\bigl(g(x)\bigr)$ は, $x$ がある極限に近づく ($x$ がどこに近づくかは文脈で判断する) とき, $$ \frac{f(x)}{g(x)} \to 0 $$ が成り立つことを意味する. 記号 $o$ は Landau のスモール・オー記号と呼ばれる.

[例] $\delta>0$ を実数とする. このとき, $$ \frac{\log x}{x^{\delta}}\to 0\quad (x\to\infty) $$ が成り立つ. このことは, $$ \log x = o\bigl( x^{\delta} \bigr) $$ と表すことができる.

【theme : 数学
【genre : 学問・文化・芸術

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