結び目、絡み目、組み紐

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結び目

$3$ 次元 Euclid 空間 $\mathbb{R}^{3}$ の弧状連結な単純閉曲線を結び目 (knot) という.

$2$ つの結び目が同値であるとは, $\mathbb{R}^{3}$ 上の同相写像によって一方が他方に写されるときにいう. $2$ つの結び目が同値であるという関係は, 結び目全体の上の同値関係である. その同値関係による同値類を結び目型 (knot type) という.

$S^{1}=\{ (x,\,y,\,0)\in\mathbb{R}^{3} \mid x^{2}+y^{2}=1 \}$ とおく. 結び目 $K$ が結ばれていない (unknotted) とは, $K$ が $S^{1}$ と同値であるときにいう. それ以外のとき, $K$ は結ばれている (knotted) という.

$K$ を結び目とするとき, $\mathbb{R}^{3}\setminus K$ の基本群を $K$ の結び目群 (knot group) という. $\mathbb{R}^{3}\setminus K$ は弧状連結なので, 基本群は基点の選び方によらずに定まる.

任意の (向きのついた) 結び目 $K$ に対して, ある向きの付けられた連結でコンパクトな曲面でその境界が向きを込めて $K$ と一致するものが必ず存在することが知られている. そのような曲面を $K$ の Seifert 曲面という. $2$ つの交わらない (向きのついた) 結び目 $K$, $K'$ のまつわり数 (linking number) とは, $K$ の Seifert 曲面と $K'$ との交点数 (=交点の数を符号を含めて数えたもの) のことである.

絡み目

互いに交わらない有限個の結び目の (集合としての) 直和を絡み目 (link) という.

$L = K_{1}\cup K_{2}\cup\cdots\cup K_{s}$, $L'=K'_{1}\cup K'_{2}\cup\cdots\cup K'_{t}$ を絡み目とする. ここで, $K_{i}$ ($1\leq i\leq s$) は互いに交わらない結び目とする. $K'_{i}$ ($1\leq i\leq t$) についても同様とする. $2$ つの絡み目 $L$, $L'$ が同値であるとは, 絡み目を構成する結び目の個数 $s$, $t$ が等しく, $\mathbb{R}^{3}$ 上の同相写像によって各々の結び目 $K_{i}$, $K'_{i}$ が同値であるときにいう (注:さらに, 各々の結び目に向きをつけて, それらが等しいことを絡み目の同値の条件に加える場合もある). $2$ つの絡み目が同値であるという関係は, 絡み目全体の上の同値関係である. その同値関係による同値類を絡み目型 (link type) という.

$L$ を絡み目とするとき, $\mathbb{R}^{3}\setminus L$ の基本群を $L$ の絡み目群 (link group) という. $\mathbb{R}^{3}\setminus L$ は弧状連結なので, 基本群は基点の選び方によらずに定まる.

組み紐

$n$ を正の整数とし, $I=[0, 1]$ とおく. 立方体 $I^{3}$ の境界上に点 $$ A_{i} = \bigl(i/(n+1),\,1/2,\,1\bigr),\quad B_{i} = \bigl(i/(n+1),\,1/2,\,0\bigr)\quad (i=1,\,2,\,\ldots,\,n) $$ をとる (注:$I^{3}$ という「箱」の天井と床に点を向かい合わせで並べる). $\sigma$ を $\{ 1,\,2,\,\ldots,\,n \}$ 上の置換とし, 各 $i=1$, $2$, $\ldots$, $n$ に対して $A_{i}$ と $B_{\sigma(i)}$ は $I^{3}$ 内の折れ線 $l_{i}$ で結ばれているとする.

ただし, $l_{i}$, $l_{j}$ ($i\neq j$) は互いに交わらないとする. また, 各 $t\in [0, 1]$ に対し, $I^{2}\times\{t\}$ と $l_{i}$ とはちょうど $1$ 点で交わるとする. さらに, 各々の $l_{i}$ は両端以外では $I^{3}$ の境界とは交わらないものとする (注:折れ線が N 字を描いたり, 箱から飛び出したりしないといった条件である).

このとき, 折れ線 $l_{i}$ ($1\leq i\leq n$) の直和を $n$ 次の組み紐 (braid) という. 特に, $\sigma$ が恒等置換であるものを純組み紐 (pure braid) という.

$2$ つの組み紐が同値であるとは, 境界上では恒等的であるような $I^{3}$ 上の同相写像によって一方が他方に写されるときにいう. $2$ つの組み紐が同値であるという関係は, 組み紐全体の上の同値関係である.

$2$ つの $n$ 次の組み紐 $b_{1}$, $b_{2}$ の積 $b_{1}b_{2}$ は, $b_{1}$ の下に $b_{2}$ を繋ぐことによって得られる. $b_{1}$ と $b'_{1}$ とが同値で, $b_{2}$ と $b'_{2}$ とが同値であるとき, $b_{1}b_{2}$ と $b'_{1}b'_{2}$ もまた同値である. これにより, 同値類の積を定義することができて, 組み紐の同値類の全体は群をなす. これを $n$ 次の組み紐群 (braid group) という.

閉組み紐

上述の組み紐において, 各 $i$ ($1\leq i\leq n$) に対して $A_{i}$ と $B_{i}$ を $I^{3}$ の境界上で互いに交わらない折れ線で結ぶと, $n$ 個の互いに交わらない弧状連結な単純閉曲線になり, それらの直和は絡み目になっている. これを閉組み紐 (closed braid) という.

[Alexander の定理] 任意の絡み目は, ある閉組み紐と同値である.

[Markov の定理] $2$ つの閉組み紐が同値であるための必要十分条件は,有限回の Markov 変形 (注:定義は省略) で一方からもう一方に移ることである.

参考文献

  • 日本数学会 (編):岩波数学辞典 第 4 版, 岩波書店, 2007.

【theme : 数学
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