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1の根全体のなす群について

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$i$ を虚数単位とする. 整数 $n\geq 1$ に対して, $\mu_{n}$ を $1$ の $n$ 乗根全体とする. さらに, $\displaystyle\mu_{\infty}=\bigcup_{n=1}^{\infty}\mu_{n}$ とおく.

[定理] $\mu_{\infty}$ は乗法群 $\mathbb{C}^{\times}$ の部分群である.

[証明] $1\in\mu_{1}\subseteq\mu_{\infty}$ より, $\mu_{\infty}$ は空集合でない.

$x$, $y\in\mu_{\infty}$ とする. ある整数 $m\geq 1$ が存在して, $x\in\mu_{m}$. 同様に, ある整数 $n\geq 1$ が存在して, $y\in\mu_{n}$. このとき, $$ (xy^{-1})^{mn} = x^{mn}(y^{-1})^{mn} = \bigl(x^{m}\bigr)^{n}\bigl(y^{n}\bigr)^{-m} = 1. $$ ゆえに, $xy^{-1}\in\mu_{mn}$. したがって, $xy^{-1}\in\mu_{\infty}$. (証明終)

[補題] 方程式 $e^{z} = 1$ の複素数解は $z=2k\pi i$ ($k\in\mathbb{Z}$) である.

[証明] 任意の $k\in\mathbb{Z}$ に対して, $$ e^{2k\pi i} = \cos 2k\pi + i\sin 2k\pi = 1. $$

逆に, $z\in\mathbb{C}$ とし, $e^{z}=1$ と仮定する. $z=x+iy$ ($x$, $y\in\mathbb{R}$) とおくと, $$ 1 = e^{z} = e^{x}e^{iy} = e^{x}(\cos y + i\sin y) $$ であるから, $$ 1 = \lvert e^{x}\rvert\lvert\cos y + i\sin y\rvert = e^{x}(\cos^{2}x+\sin^{2}x) = e^{x}. $$ これより, $x=0$ を得る. さらに, $$ \cos y + i\sin y = 1. $$ よって, $$ \cos y = 1,\quad \sin y = 0. $$ 一方, \begin{align*} \cos y = 1 &\Longleftrightarrow y = 2k\pi\;(\exists k\in\mathbb{Z}), \\ \sin y = 0 &\Longleftrightarrow y = k\pi\;(\exists k\in\mathbb{Z}). \end{align*} ゆえに, $y = 2k\pi$ ($\exists k\in\mathbb{Z}$). したがって, $z=2k\pi i$ ($\exists k\in\mathbb{Z}$). (証明終)

[補題] $n\geq 1$ を整数とする. このとき, 方程式 $z^{n}=1$ の複素数解は $z=e^{2k\pi i/n}$ ($k=0$, $1$, $\ldots$, $n-1$) である. 

[証明] 前補題より, $z=e^{2k\pi i/n}$ ($k=0$, $1$, $\ldots$, $n-1$) は $z^{n}=1$ の解である. 再び前補題より, それらはすべて異なることがいえる. 実際, $k$, $k'\in\mathbb{Z}$ に対して, \begin{align*} e^{2k\pi i/n} = e^{2k'\pi i/n} &\Longleftrightarrow e^{2(k-k')\pi i/n} = 1 \\ &\Longleftrightarrow \frac{2(k-k')\pi}{n} = 2k''\pi i\;(\exists k''\in\mathbb{Z}) \\ &\Longleftrightarrow \frac{k-k'}{n}\in\mathbb{Z} \\ &\Longleftrightarrow k-k'\in n\mathbb{Z}. \end{align*} それらが解のすべてであることは, 複素数係数多項式の根の個数がその多項式の次数以下であるということからわかる. (証明終)

[定理] $\mu_{\infty}\cong\mathbb{Q}/\mathbb{Z}$. ただし, $\mathbb{Q}$ は有理数全体のなす加法群であるとする.

[証明] 各 $a\in\mathbb{Q}$ に対して, $a=m/n$, $m$, $n\in\mathbb{Z}$, $n>0$ と表すとき, $$ (e^{2a\pi i})^{n} = e^{2na\pi i} = e^{2m\pi i} = 1. $$ よって, 写像 $$ f:\mathbb{Q}\longrightarrow\mu_{\infty},\quad a\longmapsto e^{2a\pi i} $$ が定まる. 任意の $a$, $b\in\mathbb{Q}$ に対して, $$ f(a+b) = e^{2(a+b)\pi i} = e^{2a\pi i}e^{2b\pi i} = f(a)f(b). $$ ゆえに, $f$ は準同型である. また, 任意の $\zeta\in\mu_{\infty}$ に対して, ある整数 $n\geq 1$ が存在して, $\zeta\in\mu_{n}$, すなわち, $\zeta^{n}=1$ となる. 2 番目の補題より, ある整数 $k$ が存在して, $k/n\in\mathbb{Q}$ かつ $\zeta = e^{2k\pi i/n} = f(k/n)$. ゆえに, $f$ は全射である. さらに, 1 番目の補題より, 任意の $a\in\mathbb{Q}$ に対して, \begin{align*} a\in\mathrm{ker}\;f &\Longleftrightarrow f(a) = 1 \Longleftrightarrow e^{2a\pi i}=1 \\ &\Longleftrightarrow 2a\pi i = 2k\pi i\;(\exists k\in\mathbb{Z}) \\ &\Longleftrightarrow a\in\mathbb{Z}. \end{align*} ゆえに, $\mathrm{ker}\;f=\mathbb{Z}$. 準同型定理により, $\mu_{\infty}\cong\mathbb{Q}/\mathbb{Z}$ となる. (証明終)

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