Chebyshevのθ関数の上からの評価

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関数 $\vartheta(x)$ を, 各実数 $x$ に対して, $$ \vartheta(x) = \sum_{p\leq x}\log p $$ とおくことにより定義する. ただし, $\displaystyle\sum_{p\leq x}$ は $x$ 以下のすべての素数についての和をとることを意味する. $x<2$ のときは $\vartheta(x)=0$ である. $\vartheta(x)$ を Chebyshev の $\vartheta$ 関数という.

[補題] $m\geq 1$ を正の整数とする. このとき, $$ \vartheta(2m+1)-\vartheta(m+1) < 2m\log 2 $$ が成り立つ.

[証明] $m$ を正の整数とする. また, $$ M=\binom{2m+1}{m+1}=\binom{2m+1}{m}=\frac{(2m+1)!}{m!(m+1)!} $$ とおく. $M$ は整数である. $2^{m+1}=(1+1)^{2m+1}$ を $2$ 項展開したとき, $M$ は展開中に $2$ 度現れるから, \begin{align*} 2^{2m+1} &= (1+1)^{2m+1} \\ &= 1+\binom{2m+1}{1}+\cdots+\binom{2m+1}{m}+\binom{2m+1}{m+1}+\cdots+1 \\ &> 2M. \end{align*} すなわち $M<2^{2m}$ である. また, $m+1<p\leq 2m+1$ なる素数 $p$ は $M$ の分子を割り切るが, 分母を割らない. よって, $$ \prod_{m+1<p\leq 2m+1}p\qquad(\mbox{$p$は素数}) $$ は $M$ の約数である. したがって, \begin{align*} &\vartheta(2m+1)-\vartheta(m+1) \\ &\qquad = \sum_{m+1<p\leq 2m+1}\log p \\ &\qquad = \log\left(\prod_{m+1<p\leq 2m+1}p\right) \\ &\qquad \leq \log M < \log 2^{2m} = 2m\log 2 \end{align*} となる. (証明終)

[定理] $x\geq 1$ を実数とする. このとき, 不等式 $$ \vartheta(x)< 2x\log 2 $$ が成り立つ.

[証明] まず, 任意の整数 $n\geq 1$ に対して, 不等式 $$ \vartheta(n)< 2n\log 2 $$ が成り立つことを, $n$ に関する数学的帰納法により証明する.

$n=1$, $2$ に対して, 不等式は正しい. 実際, \begin{align*} \vartheta(1) &= 0 < 2\log 2, \\ \vartheta(2) &= \log 2 < 4\log 2. \end{align*}

$n\geq 3$ のとき, $n-1$ 以下に対しては不等式が成り立つと仮定する.

$n$ が偶数のとき. $\vartheta(n)=\vartheta(n-1)$ であり, 帰納法の仮定より, $$ \vartheta(n-1)<2(n-1)\log 2<2n\log 2. $$ よって, $n$ に対しても不等式が成り立つ.

$n$ が奇数のとき. $n=2m+1$ ($m\geq 1$ は整数) とおくと, 帰納法の仮定と補題より, \begin{align*} \vartheta(n) &= \vartheta(2m+1) \\ &= \vartheta(m+1) + \bigl(\vartheta(2m+1)-\vartheta(m+1)\bigr) \\ &< 2(m+1)\log 2+2m\log 2 \\ &= 2(2m+1)\log 2 \\ &= 2n\log 2. \end{align*} よって, $n$ に対しても不等式が成り立つ.

以上により, すべての整数 $n\geq 1$ に対して不等式が成り立つ.

任意の実数 $x\geq 1$ に対して, $n=\lfloor x\rfloor$ とおくと, $$ \vartheta(x) = \vartheta(n) < 2n\log 2\leq 2x\log 2 $$ である. (証明終)

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