偏導関数が恒等的に0な関数は定数である

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[補題] $D$ を開円板とし, $f(x, y)$ を $D$ の各点において $x$, $y$ に関して偏微分可能な関数とする. このとき, 偏導関数 $f_{x}(x, y)$, $f_{y}(x, y)$ が $D$ において恒等的に $0$ ならば, $f(x, y)$ は定数関数である.

[証明] まず, 開円板 $D$ の $x$ 軸および $y$ 軸に平行な切り口は開区間になることに注意する. $f_{x}(x, y)$ が恒等的に $0$ であると仮定する. $y$ を固定したとき, $f(x, y)$ は, ある開区間で定義された $x$ の関数として微分したものが $0$ であるから, $f(x, y)$ は $x$ によらない. 同様に, $f_{y}(x, y)$ が恒等的に $0$ であると仮定すると, $f(x, y)$ は $y$ によらない. ゆえに, $f(x, y)$ は $x$, $y$ によらず一定である. すなわち, 定数関数である. (証明終)

[定理] $D$ を領域 (=弧状連結な開集合) とし, $f(x, y)$ を $D$ の各点において $x$, $y$ に関して偏微分可能な関数とする. このとき, 偏導関数 $f_{x}(x, y)$, $f_{y}(x, y)$ が $D$ において恒等的に $0$ ならば, $f(x, y)$ は定数関数である.

[証明] $D$ の点 $P$ を $1$ つ固定し, $D$ の点 $Q$ を任意にとる. $f(Q)=f(P)$ が成り立つことを示せばよい.

$D$ は弧状連結なので, 連続写像 $$ \varphi:[0, 1]\longrightarrow D,\quad \varphi(0)=P,\quad \varphi(1)=Q $$ が存在する. $\varphi$ の像 $\varphi([0, 1])$ を $C$ とおく. $C$ はコンパクトである. 一方, $D$ は開集合なので, $D$ の任意の点 $R$ に対して, $R$ を中心とする開円板 $B(R)$ が存在して, $B(R)$ は $D$ に含まれる. このとき, $$ C \subseteq \bigcup_{S\in C}B(S) $$ であるが, $C$ のコンパクト性より, $B(S)$ ($S\in C$) の中から有限個 $B_{1}$, $B_{2}$, $\ldots$, $B_{n}$ を選んで $$ C \subseteq \bigcup_{j=1}^{n}B_{j} $$ とできる.

$B_{1}$ が $P$ を含むとしても一般性を失わない. 前補題より, $B_{1}$ 上で $f(x, y)$ は一定の値 $f(P)$ をとる. $B_{1}$ の境界と $C$ との交点が属する開円板が $B_{2}$, $B_{3}$, $\ldots$, $B_{n}$ の中に存在する. それが $B_{2}$ であるとすると, $B_{1}\cap B_{2}\neq\emptyset$ である. このとき, 前補題より, $B_{2}$ 上で $f(x, y)$ は一定の値 $f(P)$ をとる. 次に, $B_{1}\cup B_{2}$ の境界と $C$ との交点が属する開円板が $B_{3}$, $\ldots$, $B_{n}$ の中に存在する. それが $B_{3}$ であるとすると, $(B_{1}\cup B_{2})\cap B_{3}\neq\emptyset$ である. このとき, 再び前補題より, $B_{3}$ 上で $f(x, y)$ は一定の値 $f(P)$ をとる. このようにして, 次々と開円板上で $f(x, y)$ が一定になってゆき, 最後にはある番号 $r$ ($\leq n$) が存在して, $Q\in B_{r}$ かつ $(B_{1}\cup B_{2}\cup\cdots\cup B_{r-1})\cap B_{r}\neq\emptyset$ となり, $B_{r}$ において $f(Q)=f(P)$ となる. (証明終)

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