リフレ政策でハイパーインフレは起きるか
リフレ政策でハイパーインフレが起きるかどうかについては、反リフレ派でも意見が分かれています。
そもそも、リフレ政策とは何か。野村證券の証券用語解説集には以下のように書かれています。
不況下で生産活動が停滞しているときに、インフレ (景気過熱) を避けながら、金利の引き下げや財政支出の拡大によって景気を刺激し、景気回復をはかろうとすること。
しかしながら、実際に議論になっている「リフレ政策」とは、デフレを脱却するために、金融緩和 (主に国債の大量発行) によってインフレを意図的に起こそうという政策のことを指しているように思います。その意味でのリフレ政策の実行について、次のことが論点になっています。
- 金融緩和を実施してもインフレは起こせないのではないか (例えば、流動性の罠)。
- 仮にインフレが起こせたとして、そのあと、インフレの度合いを制御することは可能なのか。
「リフレ政策でハイパーインフレは起きるか」という問題は、後者の論点に関するものです。
ハイパーインフレが起こる (可能性がある) と主張している反リフレ派は、池田信夫氏。
→ アゴラ:池田信夫 - インフレは起こらないがハイパーインフレは起こる
※ ハイパーインフレの定義として、Cagan による「月率 50 % (≒年率 13000 %) 以上」という定義が有名のようですが、池田氏の記事では IASB (International Accounting Standards Board) の「3年で100%以上」という定義を採用していることに注意。
ハイパーインフレは起こらないと主張している反リフレ派は、小幡績氏。
→ 東洋経済オンライン:小幡績 - ハイパーインフレは本当にやってくるのか
→ アゴラ:小幡績 - ハイパーインフレは起きないが、リフレは経済を破綻させる
もし、反リフレ派の主張が納得できない理由が「リフレ政策でハイパーインフレが起きる」という部分であれば、小幡氏の記事を読まれてみてはいかがでしょうか。
そもそも、経済政策は「やってみなければわからないが、失敗したら大損害になる」ところが難しいといえます。失敗を恐れずにどんどんチャレンジしよう、というようなノリで、国の政策を実施するわけにはいきません。
デフレよりも (マイルドな) インフレのほうがよいというのが、リフレ政策の実行を正当化する前提としてあります。まっとうな反リフレ派の意見は、その前提を否定するのではなく、リフレ政策は効果より副作用のほうが大きいから、やらないほうがマシなのではないか、ということなのだと思います。
やったほうがよいのか、やらないほうがよいのか、現時点で結論を出すことはできません。最終的に、リフレ政策をやるかやらないかを決断するのは、次の選挙 (第 46 回衆議院議員総選挙。公示日は 2012 年 12 月 4 日 (火)、投票日は 16 日 (日)) に当選した政治家の方々です。
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【genre : 政治・経済】