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非可換多項式環の定義

1 変数の非可換多項式環の定義。

※ MathJax を使用しています。数式を表示するためには、JavaScript をオンにする必要があります。

$R$ を (必ずしも可換とは限らない) 環する. $X$ を不定元とする多項式 $$ \sum_{i=0}^{m}a_{i}X^{i},\quad a_{i}\in R $$ の全体からなる集合を $R[X]$ で表す.

多項式 $\displaystyle f = f(X) = \sum_{i=0}^{m}a_{i}X^{i}$ に対して, $$ \deg(f) = \max\{ i \mid a_{i}\neq 0 \} $$ を $f$ の次数という. ただし, $\deg(0)=\infty$ と定める.

$R[X]$ に属する $2$ つの多項式 $$ f = \sum_{i=0}^{m}a_{i}X^{i},\quad g = \sum_{i=0}^{n}b_{i}X^{i} $$ に対して, それらの和 $f+g$ を $$ f+g = \sum_{i=0}^{M}(a_{i}+b_{i})X^{i},\quad M=\max\{m,\,n\} $$ によって定めることにより, $R[X]$ は加法群になる.

$\sigma:R\rightarrow R$ を $R$ の (環としての) 自己同型とする.

写像 $\delta:R\rightarrow R$ が $\sigma$-微分 ($\sigma$-derivation) であるとは, 任意の $a$, $b\in R$ に対して, \begin{align*} & \delta(a+b) = \delta(a) + \delta(b), \\ & \delta(ab) = \sigma(a)\delta(b) + \delta(a)b \end{align*} が成り立つときにいう. $2$ 番目の条件において $a=b=1$ とすることにより, $\delta(1)=0$ が直ちにわかる.

$R$ の自己同型 $\sigma$ と $\sigma$-微分 $\delta$ が与えられたとき, $$ Xa = \delta(a) + \sigma(a)X\quad (\forall a\in R) $$ なる関係式を満たすような乗法が定まり, $R[X]$ は環になる. これを, $X$ を不定元とする $R$ 上の非可換多項式環 (skew polynomial ring) といい, $R[X;\,\sigma,\,\delta]$ で表す.

[注意] $\sigma$ が恒等写像, $\delta$ が零写像のとき, $R[X;\,\sigma,\,\delta]$ は通常の多項式環 $R[X]$ に一致する. したがって, 非可換多項式環の概念は, 通常の多項式環の一般化になっている.

[例] $R$ を, $Y$ を不定元とする $\mathbb{R}$ 係数の (通常の) 多項式環 $\mathbb{R}[Y]$ とする. $\sigma$ を恒等写像とし, $\delta$ を $Y$ に関する微分 $\displaystyle\frac{d}{dY}$ とする. このとき, $X$ を不定元とする非可換多項式環 $R[X;\,\sigma,\,\delta]$ を Weyl 代数 (Weyl algebra) という.

[定理] $R[X;\,\sigma,\,\delta]$ の任意の元 $f$, $g$ に対して, $$ \deg(fg) \leq \deg(f) + \deg(g) $$ が成り立つ.

参考文献

  • 岩永恭雄, 佐藤眞久: 環と加群のホモロジー代数的理論, 2002

【theme : 数学
【genre : 学問・文化・芸術

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