位数6の群を素朴な方法で分類する

位数 6 の群を素朴な方法で分類する.

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[定理] 位数 $6$ の群は, 巡回群または二面体群に同型である.

[証明] $G$ を群とし, $\lvert G\rvert = 6$ であるとする.

$G$ が位数 $6$ の元をもつ場合: $G$ は位数 $6$ の元によって生成される巡回群である.

$G$ が位数 $6$ の元をもたない場合: $G$ の元の位数は, $\lvert G\rvert=6$ の約数であるから, $1$, $2$, $3$, $6$ のいずれかである. また, 位数 $1$ の元は単位元 $e$ しかない. ゆえに, $G$ が位数 $6$ の元をもたなければ, $G$ の $e$ 以外の元の位数は $2$ か $3$ である.

もし仮に位数 $3$ の元が存在しないとすると, $G$ の $e$ 以外の元の位数は $2$ である. $a$, $b$ を異なる $G$ の位数 $2$ の元とすると, \begin{align*} &ab = e \Longrightarrow b=a(ab)=a \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &ab = a \Longrightarrow b=e \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &ab = b \Longrightarrow a=e \Longrightarrow \mbox{矛盾}. \end{align*} よって, $e$, $a$, $b$, $ab$ はすべて異なる. さらに, それらと異なる $G$ の元 $c$ をとると, \begin{align*} &ac = e \Longrightarrow c=a(ac)=a \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &ac = a \Longrightarrow c=e \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &ac = b \Longrightarrow c=a(ac)=ab \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &ac = c \Longrightarrow a=e \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &ac = ab \Longrightarrow c=b \Longrightarrow \mbox{矛盾}. \end{align*} さらに, \begin{align*} &bc = e \Longrightarrow c=b(bc)=b \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &bc = a \Longrightarrow b=(bc)c=ac \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &bc = b \Longrightarrow c=e \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &bc = c \Longrightarrow b=e \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &bc = ab \Longrightarrow ac=(ab)(bc)=(ab)^{2}=e \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &bc = ac \Longrightarrow b=a \Longrightarrow \mbox{矛盾}. \end{align*} 以上より, $7$ 個の元 $e$, $a$, $b$, $ab$, $c$, $ac$, $bc$ はすべて異なる. これは $\lvert G\rvert=6$ に矛盾する. したがって, $G$ は位数 $3$ の元をもつ.

もし仮に位数 $2$ の元が存在しないとすると, $G$ の $e$ 以外の元の位数は $3$ である. $a$ を $G$ の位数 $3$ の元とすると, $e$, $a$, $a^{2}$ はすべて異なる. それらと異なる $G$ の元 $b$ をとると, \begin{align*} &b^{2}=e \Longrightarrow b=b(b^{2})=e \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &b^{2}=a \Longrightarrow b=(b^{2})^{2}=a^{2} \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &b^{2}=a^{2} \Longrightarrow b=(b^{2})^{2}=(a^{2})^{2}=a \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &b^{2}=b \Longrightarrow b=e \Longrightarrow \mbox{矛盾}. \end{align*} よって, $e$, $a$, $a^{2}$, $b$, $b^{2}$ はすべて異なる. さらに, \begin{align*} &ab = e \Longrightarrow b=a^{2}(ab)=a^{2} \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &ab = a \Longrightarrow b=e \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &ab = a^{2} \Longrightarrow b=a \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &ab = b \Longrightarrow a=e \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &ab = b^{2} \Longrightarrow a=b \Longrightarrow \mbox{矛盾}. \end{align*} さらに, \begin{align*} &a^{2}b = e \Longrightarrow b=a(a^{2}b)=a \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &a^{2}b = a \Longrightarrow b=a(a^{2}b)=a^{2} \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &a^{2}b = a^{2} \Longrightarrow b=e \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &a^{2}b = b \Longrightarrow a^{2}=e \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &a^{2}b = b^{2} \Longrightarrow a^{2}=b \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &a^{2}b = ab \Longrightarrow a=e \Longrightarrow \mbox{矛盾}. \end{align*} 以上より, $7$ 個の元 $e$, $a$, $a^{2}$, $b$, $b^{2}$, $ab$, $a^{2}b$ はすべて異なる. これは $\lvert G\rvert=6$ に矛盾する. したがって, $G$ は位数 $2$ の元をもつ.

今までの議論で, $G$ は位数 $3$ の元 $a$ と位数 $2$ の元 $b$ をもつことがわかった. $a^{2}$ は $a$ と異なる位数 $3$ の元なので, $e$, $a$, $a^{2}$, $b$ はすべて異なり, $\langle a\rangle\cap\langle b\rangle=\{e\}$ である. $i$, $i'\in\{0,1,2\}$, $j$, $j'\in\{0,1\}$ について, \begin{align*} a^{i}b^{j}=a^{i'}b^{j'} &\Longrightarrow a^{i-i'}=b^{j'-j}\in\langle a\rangle\cap\langle b\rangle \\ &\Longrightarrow a^{i-i'}=b^{j'-j}=e \\ &\Longrightarrow i\equiv i'\;(\mathrm{mod}\;3),\,j\equiv j'\;(\mathrm{mod}\;2) \\ &\Longrightarrow i=i',\,j=j'. \end{align*} ゆえに, 集合として $$ G = \{ a^{i}b^{j}\mid i\in\{0,1,2\},\,j\in\{0,1\} \}. $$ が成り立つ. 実際, 右辺の集合は $G$ の部分集合であり, その元の個数は $\lvert G\rvert=6$ に等しい. さて, $ba\in G$ に対して, ある整数 $i$, $j$ が存在して $$ ba=a^{i}b^{j},\quad 0\leq i\leq 2,\quad 0\leq j\leq 1 $$ と表せる. ところが, \begin{align*} &i=0 \Longrightarrow a=b^{j-1} \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &j=0 \Longrightarrow b=a^{i-1} \Longrightarrow \mbox{矛盾}, \\ &i=j=1 \Longrightarrow ba=ab \Longrightarrow \mbox{$ab$ の位数が $6$} \Longrightarrow \mbox{矛盾}. \end{align*} ゆえに, $i=2$ かつ $j=1$ でなければならない. 以上より, $a$, $b$ は $G$ の生成元であり, $$ a^{3}=b^{2}=e,\quad ba=a^{2}b $$ を満たす. したがって, $G$ は位数 $6$ の二面体群 $D_{6}$ に同型である. (証明終)

[注意] 位数 $6$ の二面体群 $D_{6}$ と $3$ 次対称群 $S_{3}$ とは群として同型である.

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